精神障害を抱えながら生活していると、毎日を過ごすだけで精いっぱいになることがあります。
仕事に行って、帰宅したら疲れて休む。休日になっても、平日の疲れが残っていて、気がつけば一日が終わっている。そんな生活を送っている人もいるのではないでしょうか。
もちろん、体調が悪いときは無理をせず休むことが大切です。精神障害がある場合、休養を取ることも生活を安定させるために必要なことだと思います。ただ、僕は精神障害がある人こそ、自分なりの趣味を持つといいのではないかと考えています。
趣味があれば、仕事以外にも楽しみができます。新しい知識を得たり、自分の世界を広げたりすることもできます。何より、人生を仕事や病気のことだけで埋め尽くさずに済みます。
今回は、精神障害者が趣味を持つことのメリットや、無理なく楽しめる趣味の選び方について考えてみたいと思います。
仕事だけの生活にならないようにする
精神障害がある人にとって、仕事を続けることは大きな課題の一つです。体調を管理しながら働き、収入を得て、生活を維持する。それだけでも、十分に頑張っているといえるでしょう。
僕自身も障害者雇用で働いていますが、仕事を続けるためには、体調との付き合い方を考える必要があります。
仕事で疲れる日もあれば、精神的な負担を感じる日もあります。帰宅したら、ほかのことをする余裕がなくなってしまうこともあります。
そのため、仕事を続けることが生活の中心になるのは、ある程度仕方のないことだと思います。ただ、仕事だけが生活のすべてになってしまうと、少し苦しくなることもあります。
例えば、職場で嫌なことがあったとします。仕事以外に楽しみがなければ、頭の中が仕事のことでいっぱいになってしまうかもしれません。
一方、休日に楽しみにしていることがあれば、気持ちを切り替えるきっかけになります。
好きな本を読む。ゲームをする。気になっていた場所へ出かける。
そんな小さな楽しみがあるだけでも、生活の感じ方は変わってくると思います。もちろん、趣味があれば仕事のストレスがなくなるわけではありません。職場環境に問題があるなら、環境の改善や支援者への相談も必要です。
それでも、仕事以外に自分の時間を持つことには意味があります。
仕事は生活を支えるために大切なものですが、人生のすべてではありません。
精神障害があっても、働くことだけでなく、自分が楽しめる時間を大切にしていいのだと思います。
2. 趣味はメンタルの切り替えにも役立つ
精神障害があると、自分の気分や体調に意識が向きやすくなることがあります。
今日は調子がいいのか、明日は仕事に行けるだろうか。薬はきちんと飲めているか。これからの生活はどうなるのか。
考えなければならないことはいろいろあります。
将来への不安や仕事の悩みなど、考えてもすぐには答えが出ない問題もあるでしょう。
そんなとき、趣味に取り組む時間は、頭を切り替えるきっかけになります。
例えば、読書をしている間は、本の内容に集中できます。散歩をしていれば、周囲の景色や季節の変化に目を向けられます。
文章を書くことが好きなら、自分の考えを整理する時間にもなります。
趣味を楽しんだからといって、悩みそのものが解決するわけではありません。
しかし、ずっと同じことを考え続けるのではなく、いったん別のことに意識を向けるのは大切だと思います。
特に、仕事のストレスを家に持ち帰りやすい人は、帰宅後の過ごし方を少し工夫してみてもいいかもしれません。
好きな音楽を聴く、短い動画を見る、本を数ページ読む。
長い時間を確保する必要はありません。
自分が無理なくできる範囲で、気持ちを切り替えられる時間を作ってみる。それだけでも、生活にちょっとした変化が生まれると思います。
ただし、趣味を楽しむ余裕がないほど体調が悪いときは、無理に気分転換しようとする必要はありません。休養が必要なときには、しっかり休むことを優先しましょう。
お金をかけなくても趣味は楽しめる
趣味を持つことをおすすめすると、「趣味にはお金がかかる」と考える人もいるかもしれません。確かに、旅行や車、スポーツなど、楽しみ方によっては、それなりの費用が必要になります。
障害者雇用で働いている人のなかには、収入に余裕がなく、趣味にお金を使うことをためらう人もいるでしょう。
生活費や将来への備えを考えると、自由に使えるお金が限られるのも現実です。しかし、趣味は必ずしもお金をかけなければ楽しめないものではありません。
僕がおすすめしたいのは、読書です。
本を買うのもいいですが、図書館を利用すれば無料で本を読むことができます。小説を楽しむこともできますし、仕事やお金、福祉など、自分の関心がある分野について学ぶこともできます。
また、散歩もお金のかからない趣味の一つです。
近所を歩くだけでも、季節の変化に気づいたり、普段は通らない道を発見したりすることがあります。体調がよく、無理なく歩ける範囲であれば、気軽に始められます。
ほかにも、無料で楽しめる動画の視聴、日記、ブログの執筆、語学の勉強など、選択肢はいろいろあります。
大切なのは、費用をかけることではなく、自分が楽しめるものを見つけることです。収入が少ないからといって、趣味を諦める必要はありません。むしろ、限られた予算のなかで楽しめるものを見つけることも、一つの工夫だと思います。
もちろん、趣味に使うお金を必要以上に切り詰める必要もありません。自分の生活に無理のない範囲で、好きなことにお金を使うのは悪いことではないでしょう。
お金を貯めることも大切ですが、今の生活を楽しむことも大切です。将来への備えと、現在の楽しみ。その両方を意識していきたいものです。
趣味を通じて自分の世界を広げる
趣味には、自分の世界を広げてくれるというメリットもあります。
例えば、読書をすると、自分とは違う立場の人の考え方に触れられます。これまで知らなかった知識を得たり、新しい分野に興味を持ったりすることもあります。
僕自身、福祉について勉強することに興味があります。
精神障害を経験したことで、福祉制度や障害者の生活について考える機会が増えました。実際に自分が支援制度を利用した経験もあり、制度の仕組みを学ぶことには意味があると感じています。
こうした関心も、広い意味では趣味の一つだと思います。もちろん、趣味だからといって、何かを勉強したり、知識を身につけたりする必要はありません。純粋に楽しむだけでも十分です。
ただ、好きなことを続けているうちに、関心が広がっていくことはあります。
最初は何となく本を読んでいただけなのに、特定の分野に興味を持つようになる。散歩が好きで、少し遠くの街まで出かけるようになる。文章を書くことが楽しくなり、自分の経験を発信するようになる。
趣味が新しい活動につながる可能性もあるのです。
精神障害を抱えていると、病気や仕事のことに意識が向きがちです。
しかし、自分の興味や関心を大切にすることで、病気以外にも自分を形作るものがあると気づけるかもしれません。
自分には好きなことがある。興味のある分野がある。これからやってみたいことがある。そうした感覚も、日々の生活を考えるうえで大切だと思います。
趣味を仕事や収入につなげなくてもいい
最近は、好きなことを仕事にしたり、副業で収入を得たりすることが注目されることもあります。
ブログやSNSで情報を発信する、写真を販売する、ハンドメイド作品を売るなど、趣味を収入につなげる方法はいろいろあります。
僕自身もブログやnoteで文章を書いています。自分の経験や考えを文章にして発信することは、趣味としての側面もあります。
ただ、趣味を持つことと、お金を稼ぐことは分けて考えてもいいと思います。
趣味を始めるときから、収益化や成果を意識する必要はありません。好きな本を読んで楽しむだけでもいいですし、誰にも見せない日記を書くだけでも構いません。趣味にまで成果を求めてしまうと、かえって負担になることがあります。
例えば、ブログを始めたとしても、すぐに読者が増えるとは限りません。収入を得ようと思えば、記事を継続して書いたり、アクセスを分析したりする必要も出てきます。
それが楽しい人もいるでしょうが、負担に感じる人もいるでしょう。特に、仕事や体調管理でエネルギーを使っている場合、余暇の時間まで頑張り続ける必要はありません。
趣味は、自分が楽しむためのものです。
結果が出なくてもいい。上達しなくてもいい。誰かに評価されなくてもいい。
自分が楽しいと思えるなら、それだけで十分に価値があると思います。趣味を仕事にすることに興味があるなら、余裕があるときに挑戦してみればいいでしょう。
まずは、純粋に楽しむことから始めても遅くはありません。
精神障害があるからこそ、無理のない趣味を選びたい
ここまで趣味のメリットについて書いてきましたが、精神障害がある人の場合、趣味との付き合い方にも気をつけたいところがあります。
体調には波があります。
調子がいいときにはいろいろなことができても、体調が悪くなると、普段は楽しめていることすら負担に感じる場合があります。そのため、趣味を選ぶときには、自分の体調に合わせやすいかどうかも考えておくといいと思います。
例えば、毎週決まった時間に参加しなければならない活動よりも、自分の都合に合わせて取り組める趣味の方が続けやすい人もいるでしょう。
自宅でできる読書やゲーム、文章を書くことなどは、自分のペースで楽しみやすい趣味です。
一方、外出することが好きなら、近場への散歩や日帰りのお出かけなども選択肢になります。
もちろん、どの趣味が向いているかは人それぞれです。
人と交流することが好きな人もいれば、一人で静かに過ごす方が落ち着く人もいます。体を動かすことが好きな人もいれば、家で過ごすことが好きな人もいるでしょう。
他人の趣味と比べる必要はありません。また、体調が悪いときに趣味を楽しめなくなったとしても、自分を責める必要はありません。
「せっかく始めたのだから続けなければ」と考えると、趣味そのものがプレッシャーになってしまいます。
調子がいいときは楽しみ、疲れているときは休む。しばらく離れていても、またやりたくなったら再開する。そのくらいの付き合い方でいいのではないでしょうか。
趣味を続けることよりも、自分の体調を守ることの方が大切です。
無理なく楽しめる方法を探しながら、自分に合ったペースで取り組んでいきたいものです。
何も趣味が思い浮かばないときは、少しずつ試してみる
ここまで読んで、「趣味を持つことには興味があるけれど、何をすればいいのかわからない」と思った人もいるかもしれません。そんなときは、最初から本格的な趣味を見つけようとしなくてもいいと思います。まずは、以前好きだったことを思い出してみるのも一つの方法です。
昔よく読んでいた本や漫画、好きだった音楽、興味があったスポーツなど、過去に楽しんでいたことがヒントになるかもしれません。
以前は好きだったけれど、病気になってから遠ざかってしまったこともあるでしょう。
ただし、昔好きだったことが、今も同じように楽しめるとは限りません。今の自分に合わなければ、別のものを探せばいいのです。また、興味のあることを少しだけ試してみるのもおすすめです。
本を一冊読んでみる。近所を10分だけ歩いてみる。気になっていた分野の動画を見てみる。
最初から道具を買いそろえたり、高額なサービスに申し込んだりする必要はありません。少し試してみて、楽しいと思えたら続ける。あまり興味が持てなければ、別のことを試す。その繰り返しで、自分に合うものを探していけばいいと思います。
そして、趣味が見つからない時期があっても問題ありません。
趣味を持つことは義務ではありませんし、趣味がないからといって、生活が充実していないと決まるわけでもありません。
今はゆっくり休むことが必要な時期かもしれません。焦らず、自分のペースで考えていけばいいのです。
まとめ:人生を仕事や病気だけで埋め尽くさないために
精神障害を抱えながら生活していると、仕事を続けることや体調を管理することに、多くのエネルギーを使います。そのため、毎日を無事に過ごすだけで精いっぱいになることもあるでしょう。しかし、生活を維持することだけが人生の目的ではありません。
自分が楽しめる時間を持つことも、大切なことだと思います。
趣味があれば、仕事以外の楽しみができます。気持ちを切り替えるきっかけになったり、新しい知識や関心に出会えたりすることもあります。
お金をかけなくても楽しめる趣味はありますし、仕事や収入につなげる必要もありません。読書でも、散歩でも、ゲームでも、文章を書くことでもいいのです。大切なのは、他人と比べることなく、自分が楽しめるものを見つけることです。
ただし、無理をする必要はありません。体調が悪いときには休み、余裕があるときに少しずつ楽しめばいいと思います。
僕自身も、仕事を続けながら、自分の興味があることを勉強したり、文章を書いたりする時間を大切にしていきたいと考えています。
精神障害があるからといって、人生の楽しみまで諦める必要はありません。仕事を続けることも大切。体調を管理することも大切。そして、自分が楽しめる時間を持つことも大切です。
病気とうまく付き合いながら、自分なりの楽しみを見つけていく。
そんな生き方を、少しずつ目指していけたらいいのではないでしょうか。



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