僕は現在、障害者雇用で働いています。
今の職場に就職する前には、就労移行支援を利用していました。そして就職した後は、就労定着支援を利用しています。
就労移行支援については、「仕事を探すための支援」というイメージを持っている人も多いと思います。
一方で、就労定着支援については、名前は聞いたことがあっても、具体的に何をしてくれるのか分からない人もいるのではないでしょうか。
僕自身、実際に利用してみるまでは、そこまで詳しく理解していませんでした。しかし、仕事を始めてから振り返ってみると、就労定着支援を利用していて良かったと思うことは結構あります。
仕事というのは、就職したら終わりではありません。むしろ、本当の意味で大変なのは、そこから仕事を続けていくことなのかもしれません。
特に精神障害のある人の場合、体調の波があったり、職場での人間関係や業務内容について悩んだりすることもあります。そんなときに、職場以外に相談できる場所があるというのは、意外と大きな安心感になります。
今回は、僕が就労定着支援を利用していて良かったと感じていることを、5つに絞って書いてみたいと思います。
仕事で困ったときに相談できる
一番分かりやすいメリットは、やはり「相談できること」だと思います。
仕事をしていると、どうしても困ることが出てきます。
「この仕事のやり方でいいのだろうか」
「職場の人にどう伝えればいいのだろうか」
「最近ちょっと疲れている」
「体調が安定しない」
「仕事を続けていけるか不安になってきた」
こういったことは、働いていれば誰でも多少は経験するものだと思います。
ただ、精神障害がある場合には、普通の人なら少し我慢できるようなことでも、精神的な負担が大きくなってしまうことがあります。
僕自身も、仕事を始めたばかりの頃は、体調面で安定しない時期がありました。そんなときに、就労定着支援の担当者に相談できるのは助かります。
もちろん、何でも解決してくれるわけではありません。最終的に仕事をするのは自分ですし、自分で判断しなければならないこともあります。
それでも、「困ったときに話を聞いてくれる人がいる」というだけで、精神的な負担はかなり違います。
一人で抱え込んでしまうと、問題そのものよりも、「誰にも相談できない」ということがストレスになる場合があります。就労定着支援は、そういう状態を防ぐための相談先の一つになってくれます。
職場との橋渡しをしてくれる
僕が就労定着支援を利用していて良かったと思うもう一つのポイントが、職場との橋渡しをしてくれることです。これは精神障害のある人にとって、かなり重要な部分だと思います。
職場で何か困ったことがあったとしても、それを自分から上司に伝えるのは簡単ではありません。
例えば、
「この仕事は少し負担が大きいです」
「こういう配慮をしてほしいです」
「最近、体調があまり良くありません」
といったことを、自分の口から直接伝えるのは、なかなか勇気が必要です。
特に、「こんなことを言ったら仕事を続けにくくなるのではないか」と考えてしまう人もいると思います。
僕も、職場に対して自分の希望や困っていることを伝えるときには、かなり考えます。そういうときに、就労定着支援の担当者が間に入ってくれることがあります。
本人の状況を聞いたうえで、必要に応じて職場側と話をしてくれる。これは非常にありがたいことです。
もちろん、何でも職場に伝えてもらえばいいというわけではありません。自分で伝えられることは、自分で伝えたほうがいいと思います。
ただ、自分だけでは伝えにくいことについて第三者が間に入ってくれるというのは、大きなメリットです。
「自分と職場の間に、もう一人相談できる人がいる」
この状態があるだけでも、仕事を続けるうえでの安心感は違います。
定期的に自分の働き方を振り返ることができる
就労定着支援を利用していると、定期的に面談などがあります。これも僕にとっては良い点だと思っています。
仕事をしていると、毎日の業務に追われてしまって、自分の働き方についてじっくり考える機会が意外とありません。
朝起きて、仕事に行って、仕事をして、帰宅する。
それを繰り返しているうちに、いつの間にか何カ月も経っている。
そんなこともあります。
しかし、定期的に支援者と話すことで、
「最近の仕事はどうだったか」
「体調はどうか」
「職場で困っていることはないか」
「今の働き方をどう感じているか」
といったことを振り返ることができます。
僕の場合も、面談で仕事について話すことで、自分では気づいていなかったことに気づくことがあります。
一人で考えていると、どうしても考え方が偏ってしまうことがあります。
「自分が悪いのではないか」
「もっと頑張らなければいけない」
と考えてしまうこともあります。
そんなときに第三者に話すと、「そこまで気にしなくてもいいのではないか」と整理できることがあります。
逆に、自分では大した問題だと思っていなかったことが、実は今後の仕事を続けるうえで注意したほうがいい問題だと分かることもあります。
定期的に立ち止まって、自分の仕事を振り返る。これは仕事を長く続けていくためには、意外と重要なことだと思います。
「仕事を辞める前」に相談できる
僕は、就労定着支援の大きなメリットの一つは、「仕事を辞める前に相談できること」だと思っています。
仕事がつらくなってくると、
「もう辞めたほうがいいのではないか」
と考えることがあります。
もちろん、本当に限界なら無理して働き続ける必要はありません。健康を壊してまで仕事を続ける必要はないと思います。
ただ、仕事がつらいからといって、すぐに退職することが必ずしも最善とは限りません。もしかすると、業務内容を少し調整するだけで続けられるかもしれません。
勤務時間について相談することで負担を減らせるかもしれません。
職場に自分の状態を理解してもらうことで、働きやすくなるかもしれません。
あるいは、そもそも自分が何に困っているのかを整理するだけで、気持ちが少し楽になるかもしれません。
こうしたことを、退職する前に相談できるのは大きいと思います。
僕自身、仕事を続けるうえでは「完璧に働くこと」よりも、「無理をしすぎず継続すること」のほうが重要だと考えています。
一度仕事を辞めてしまうと、また仕事を探して、応募して、面接を受けて、就職して……というプロセスを最初からやり直す必要があります。だからこそ、辞めるという結論を出す前に、一度誰かに相談してみる。
その相談先として、就労定着支援があることには意味があります。「辞めるか、続けるか」の二択だけではなく、その間にある選択肢を一緒に考えてもらえる。
これは精神障害のある人が働き続けるうえで、かなり重要なことだと思います。
「一人で働いているわけではない」と感じられる
最後は、少し精神的な部分です。
就労定着支援を利用していて良かったと思うのは、「自分一人だけで仕事を続けているわけではない」と感じられることです。
もちろん、実際に仕事をするのは自分です。毎日職場に行くのも自分ですし、仕事をするのも自分です。だからといって、すべてを一人で抱え込む必要はありません。
僕は、障害者雇用という制度を利用して働いています。そして、職場から合理的配慮を受けたり、必要に応じて支援機関に相談したりしています。
最初は、こういう支援を受けることに対して、少し抵抗がある人もいるかもしれません。
「自分だけ支援を受けていていいのだろうか」
「普通の人と同じように働かなければいけないのではないか」
と考えてしまうこともあると思います。
でも、僕は支援を利用できるなら、堂々と利用していいと思っています。仕事を続けるために必要なサポートを利用することは、決して悪いことではありません。むしろ、自分の状態に合わせて必要な支援を受けながら働くほうが、長く仕事を続けられる可能性があります。
「困ったら相談する」
「必要なら配慮をお願いする」
「一人で抱え込まない」
こうしたことは、障害の有無にかかわらず、働くうえで大切なことではないでしょうか。
就労定着支援は「仕事を続けるための保険」のようなもの
ここまで、僕が就労定着支援を利用していて良かったと思うことを5つ紹介しました。
仕事で困ったときに相談できる。
職場との橋渡しをしてくれる。
定期的に働き方を振り返ることができる。
仕事を辞める前に相談できる。
そして、一人で働いているわけではないと感じられる。
僕が就労定着支援を利用していて感じるのは、「何か問題が起きたときのための保険」のような存在だということです。
何も問題がなければ、支援を利用していることを意識しないかもしれません。しかし、仕事で困ったときには、「相談できる場所がある」ということが大きな意味を持ちます。
精神障害のある人にとって、仕事を探すことも大切ですが、仕事を続けることも同じくらい大切です。就職できたからといって、すべてが終わるわけではありません。
むしろ、そこから職場に慣れて、自分の体調と仕事のバランスを考えながら、少しずつ働き方を作っていくことになります。その過程で、必要な支援を利用することは決して恥ずかしいことではありません。
僕自身、就労移行支援を利用して仕事を探し、就職した後は就労定着支援を利用しています。振り返ってみると、就職前だけではなく、就職後にも支援があることは大きな安心材料でした。
もし現在、障害者雇用などで働いていて、「仕事は始めたけれど、この先ちゃんと続けられるだろうか」と不安に感じている人がいるなら、就労定着支援という選択肢があることを知っておいてもいいと思います。
一人で頑張り続ける必要はありません。
仕事を続けるために使える制度や支援があるなら、それを上手に利用すればいい。僕は、就労定着支援を利用した経験から、そう考えるようになりました。



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