精神障害や発達障害などがあり、「働きたいけれど、いきなり就職するのは不安」と感じている人は多いのではないでしょうか。
僕自身も、精神障害を抱えながら、もう一度働くことについて悩んでいた時期があります。以前は一般企業で働いていましたが、精神疾患を発症したことで、それまでのように働くことが難しくなりました。
「また働けるようになるのだろうか」
「どんな仕事なら続けられるのだろうか」
「就職活動を一人でやるのは難しい」
そんなことを考えていました。
そのときに利用したのが、就労移行支援です。
僕は就労移行支援を利用して、パソコンの資格取得やビジネスマナー、コミュニケーション、履歴書の書き方などを学びました。そして、最終的には就労移行支援を経由して現在の仕事に就職することができました。
もちろん、就労移行支援を利用すれば必ず就職できるというわけではありません。また、事業所によって支援内容や雰囲気にも違いがあります。
それでも、僕自身の経験からすると、就労移行支援は「働きたいけれど、どう動けばいいのか分からない」という人にとって、一つの有力な選択肢だと思っています。
今回は、僕が実際に利用した経験をもとに、就労移行支援をお勧めする5つの理由について書いてみます。
いきなり就職するのではなく、働く準備ができる
就労移行支援の大きなメリットは、いきなり就職するのではなく、働くための準備期間を作れることです。
精神障害などがある場合、一般的な就職活動だけを考えると、「求人を探す→応募する→面接する→採用される」という流れをすぐに進めなければならないように感じるかもしれません。しかし、体調が安定していなかったり、長期間仕事から離れていたりすると、いきなり就職すること自体が大きな負担になります。
僕自身も、精神疾患を経験した後は、「仕事を探せばいい」という単純な問題ではありませんでした。
まず、生活リズムを整える。
決まった時間に通所する。
人とコミュニケーションを取る。
パソコンなどのスキルを身につける。
自分がどんな仕事なら続けられそうなのか考える。
こうした準備が必要でした。就労移行支援では、こうした「就職する前の段階」に時間を使うことができます。
これは意外と重要なことだと思います。
仕事を辞めた後、すぐに次の仕事を探すという方法もあります。しかし、前の仕事で体調を崩した原因が整理できていないまま再就職すると、同じような問題を繰り返してしまう可能性があります。
就労移行支援を利用すれば、自分の体調や得意・不得意、働く上で配慮してほしいことなどを考えながら、次の仕事について準備できます。
「早く就職しなければ」と焦るのではなく、「長く働くための準備をする」。
就労移行支援には、そういう意味があります。
一人で就職活動をしなくてもいい
就職活動は、精神的にもかなり疲れるものです。
求人を探して、応募書類を書いて、面接を受ける。
不採用になれば、また次を探す。
これを一人で繰り返すのは、なかなか大変です。
特に精神障害がある場合、「自分には何ができるのか」「障害についてどこまで説明すればいいのか」「どんな仕事が向いているのか」といった悩みも出てきます。
僕も一人で就職活動をしていたら、かなり苦労していたと思います。
就労移行支援では、スタッフに相談しながら就職活動を進めることができます。履歴書や職務経歴書について相談したり、面接の練習をしたり、自分に合いそうな求人について一緒に考えたりすることができます。
もちろん、最終的に就職先を決めるのは自分自身です。しかし、「相談できる人がいる」というだけでも、かなり違います。
僕が就労移行支援を利用して感じたのは、就職活動そのものだけではなく、「一人で抱え込まなくていい」ということの大きさでした。
精神障害があると、仕事について悩んでいても、「こんなことを相談していいのだろうか」と考えてしまうことがあります。でも、就労支援のスタッフには、仕事や就職について相談することができます。これは大きなメリットです。
自分に合った働き方を考えるきっかけになる
就労移行支援のもう一つのメリットは、「自分に合った仕事とは何か」を考える機会ができることです。これは僕自身にとってかなり重要でした。
精神疾患を発症する前の僕は、「仕事は頑張るもの」という考えが強かったと思います。
多少大変でも頑張る。
仕事を任されたら責任を持ってやる。
忙しくても我慢する。
そういう働き方をしていました。
しかし、精神疾患を経験したことで、「頑張れる仕事」と「続けられる仕事」は違うのだと考えるようになりました。
例えば、仕事そのものはできても、人間関係や過度なプレッシャーが負担になることがあります。逆に、仕事内容が多少地味でも、落ち着いて取り組める仕事なら長く続けられるかもしれません。
就労移行支援では、自分の得意なことや苦手なこと、仕事で困りやすいこと、必要な配慮などについて考える機会があります。
僕の場合も、就職後に「自分に合わない働き方」が少しずつ分かってきました。
最初は接客を含む仕事をしていましたが、負担が大きいことを職場に相談し、現在は環境整備の仕事をしています。この経験からも、「どんな仕事に就くか」だけではなく、「どんな働き方なら続けられるか」を考えることが重要だと思っています。
就労移行支援は、そのことを考えるきっかけになります。
就職後のことまで考えて準備できる
就職はゴールではありません。むしろ、精神障害がある人にとっては、就職した後に仕事を続けられるかどうかが重要です。せっかく就職できても、数か月で体調を崩して退職してしまえば、本人にとっても大きな負担になります。だからこそ、就職活動だけではなく、「就職した後」を考えておくことが大切です。
就労移行支援では、就職後の働き方や職場での配慮についても考えていきます。
例えば、
「体調が悪くなったとき、どう伝えるか」
「苦手な業務を任されたらどうするか」
「職場で困ったときに誰に相談するか」
といったことです。
こうしたことを事前に考えておくだけでも、実際に働き始めたときの安心感が変わってきます。
また、就職後には就労定着支援など、仕事を続けるための支援につながる場合もあります。僕自身も、就職後に就労定着支援を利用しました。
就職したらすべて自分一人で解決しなければならないわけではありません。必要な支援を利用しながら仕事を続けていくという考え方もあります。これは、精神障害者が働く上でかなり重要なことだと思っています。
「支援を受けずに一人で働けることが自立」という考え方もあるかもしれません。しかし、僕はそうは思いません。
必要な支援を上手に利用しながら、自分にできる仕事を続けていくことも立派な自立の形だと思います。
「もう一度働いてみよう」と思える場所になる
僕が就労移行支援を利用して一番良かったと思っていることは、働くことに対する自信を少しずつ取り戻せたことです。
精神疾患を経験すると、「自分はもう働けないのではないか」と考えてしまうことがあります。一度仕事を辞めたり、休職したりすると、それまで当たり前だと思っていた「働く」ということが、とても遠いものに感じられることがあります。
僕もそうでした。
しかし、就労移行支援に通って、決まった時間に活動する。
他の人と話す。
課題に取り組む。
資格の勉強をする。
就職活動をする。
そういう小さな経験を積み重ねていくことで、「もしかしたら、また働けるかもしれない」と思えるようになりました。これは非常に大きかったです。
いきなりフルタイムで働けるようになる必要はありません。
最初は週に何日か通うところから始めてもいい。
できることを少しずつ増やしていけばいい。
そう考えられるようになったことは、僕にとって大きな変化でした。
就労移行支援にも向き・不向きがある
ここまで就労移行支援のメリットを書いてきましたが、誰にとっても完璧なサービスというわけではありません。僕自身、利用していて「もっとこうだったらいいのに」と感じることもありました。
例えば、パソコンやビジネスマナーなどの基本的な内容が中心の事業所もあります。すでに一定のスキルがある人にとっては、「少し物足りない」と感じることもあるでしょう。
僕自身も、就労移行支援を利用していて、もっと専門的なITスキルなどを学べる環境があればいいと思ったことがあります。
また、事業所によって支援内容や雰囲気はかなり違います。そのため、「就労移行支援ならどこでもいい」と考えるのではなく、自分に合った事業所を探すことが大切です。見学や体験利用などを通して、スタッフの雰囲気や訓練内容、就職実績、就職後の支援などを確認しておくといいでしょう。
大切なのは、「就労移行支援を利用すること」そのものを目的にしないことです。目的は、あくまでその先にある「自分に合った働き方を見つけること」です。
就労移行支援は「働くためのリハビリ」のようなもの
僕は、就労移行支援を「働くためのリハビリ」のようなものだと考えています。
もちろん、医療的な意味でのリハビリとは違います。それでも、いきなり仕事に戻るのではなく、少しずつ生活リズムを整え、人と関わり、仕事に必要なスキルを身につけ、就職活動をしていくという意味では、仕事に戻るための準備期間と言えると思います。
精神障害があるからといって、必ず就労移行支援を利用しなければならないわけではありません。自分で就職活動をして働ける人もいます。
一方で、
「働きたいけれど、何から始めればいいか分からない」
「長期間仕事をしていない」
「過去に仕事で体調を崩した」
「自分に向いている仕事が分からない」
「就職活動を一人でするのが不安」
という人にとっては、検討する価値のある選択肢だと思います。
最後に
精神障害を抱えていると、「普通に働けない自分はダメなのではないか」と考えてしまうことがあります。でも、僕はそうは思いません。
働き方にはいろいろな形があります。
一般雇用で働く人もいれば、障害者雇用で働く人もいます。
フルタイムで働く人もいれば、短時間から始める人もいます。
そして、就労移行支援などの支援を利用してから仕事を始める人もいます。
大切なのは、「人と同じように働けるか」ではなく、「自分が無理なく続けられる働き方を見つけられるか」だと思います。
僕自身、就労移行支援を利用したことで、もう一度働くための準備ができました。そして現在は、障害者雇用という形ではありますが、仕事を続けています。
精神障害があるからといって、人生が終わったわけではありません。
少し遠回りをしてもいい。
支援を使ってもいい。
自分に合った仕事を探してもいい。
そして、時間をかけて働く力を取り戻していってもいい。
「もう一度働いてみたい」と思っているのであれば、就労移行支援という選択肢について調べてみることをお勧めします。一人で頑張ることだけが、働くための方法ではありません。



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