精神障害になってから、生活や仕事にさまざまな制限が出てきました。
以前のように働くことが難しくなり、収入も大きく減りました。そんな僕の生活を支えてくれている制度の一つが、障害年金です。
僕自身、現在も障害年金を受給しています。僕は障害者雇用で働いてはいますが、障害厚生年金3級を受給できています。
精神障害者になってから、お金の不安について考えることが増えました。働くことができれば、それに越したことはありません。しかし、障害によって以前と同じように働けなくなると、収入が大きく減ってしまうことがあります。
そんなとき、知っておきたいのが障害年金です。
「障害年金って、かなり重い障害がある人だけのものじゃないの?」
そう思っている人もいるかもしれません。
しかし、障害年金は病気やけがによって生活や仕事が制限される場合に、現役世代でも受給できる可能性がある公的年金制度です。
今回は、僕自身の経験も交えながら、障害年金について簡単に説明します。
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって一定の障害状態になった場合に受け取ることができる公的年金です。ここで大切なのは、「障害者手帳を持っている=障害年金を受給できる」という制度ではないということです。
障害年金には障害年金独自の認定基準があります。
そのため、精神障害者保健福祉手帳を持っていても障害年金を受給できない場合がありますし、逆に手帳の等級と障害年金の等級が一致するとも限りません。
障害年金を考えるときには、手帳とは別の制度として考える必要があります。
そして、障害年金で特に重要なのが初診日です。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。
この「初診日にどの年金制度に加入していたか」によって、障害基礎年金なのか障害厚生年金なのかが大きく変わってきます。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金には大きく分けて、
障害基礎年金
と
障害厚生年金
があります。
簡単に言えば、初診日に国民年金に加入していた場合などは障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金の対象になります。
障害基礎年金
障害基礎年金は、初診日に国民年金の被保険者であった場合などに請求することができます。
原則として障害等級は1級・2級です。つまり、障害基礎年金には3級がありません。
20歳前に発症した場合など、一定のケースでは20歳前の傷病による障害基礎年金という仕組みもあります。
障害厚生年金
一方、初診日に会社員などで厚生年金に加入していた場合には、障害厚生年金の対象になる可能性があります。
障害厚生年金には1級・2級・3級があります。
また、1級・2級の場合には、障害基礎年金とあわせて受給することがあります。3級は障害厚生年金のみの制度です。
そのため、同じ精神障害であっても、初診日にどの年金制度に加入していたかによって受給できる年金の種類が変わってきます。
ここは障害年金を考えるうえで非常に重要なポイントです。
障害年金を受給するための主な条件
障害年金は、単純に「病気になったからもらえる」というものではありません。
大きく考えると、
①初診日
②障害の状態
③保険料の納付要件
などを確認する必要があります。
特に重要なのが初診日です。そして、初診日の前日において一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。
原則として、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上あることが必要です。
また、一定の特例として、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことなどを条件にできる場合もあります。
このあたりは非常に細かいので、「自分は条件を満たしているのか分からない」という人は、年金事務所などに相談してみるといいでしょう。
精神障害でも障害年金の対象になる
障害年金というと、身体障害をイメージする人もいるかもしれません。しかし、精神障害も対象になります。
うつ病、統合失調症などの精神疾患によって、日常生活や仕事に大きな制限が生じている場合、障害年金の対象になる可能性があります。
ただし、病名だけで自動的に受給できるわけではありません。実際の日常生活の状況や就労状況などを含めて、障害の状態が認定基準に該当するかどうかが判断されます。
だからこそ、「自分は働いているから障害年金は無理だろう」と最初から諦める必要もありません。
実際、僕自身も働きながら障害年金を受給しています。もちろん、働いているから必ず受給できるという意味ではありません。
障害年金は、仕事をしているかどうかだけではなく、障害によってどのような制限が生じているのかなど、総合的に判断される制度だからです。
申請が難しそうなら、社労士に相談する
障害年金について調べていると、だんだん頭が痛くなってくるかもしれません。
初診日。
保険料納付要件。
障害認定日。
診断書。
病歴・就労状況等申立書。
正直、かなり複雑です。僕も障害年金を申請するときには、制度についていろいろ調べました。
ただ、すべてを自分一人で判断するのが難しい人もいると思います。その場合には、社会保険労務士(社労士)に依頼するという方法があります。
特に、初診日の証明が難しいケースや、過去の通院歴が複雑なケース、診断書や申立書について不安があるケースなどでは、専門家に相談する価値があります。
もちろん、社労士に依頼すれば必ず障害年金が受給できるわけではありません。また、依頼には費用もかかります。
そのため、自分で申請する方法と専門家に依頼する方法を比較して、自分に合った方法を選ぶのがいいと思います。
まずは年金事務所で相談してみるのも一つの方法です。日本年金機構では、年金事務所で障害年金の請求や年金相談を受け付けています。
障害年金は「生活の足し」として大きい
僕が障害年金を受給していて感じるのは、やはり生活の安心感が違うということです。
精神障害になって以前のように働けなくなると、どうしても収入が減ります。障害者雇用で働くようになってからも、一般雇用で働いていた頃と比べて収入は下がりました。だからこそ、障害年金は生活を支える大切な収入の一つになっています。
もちろん、障害年金だけで生活するというのは簡単ではありません。でも、毎月一定のお金が入ってくることで、仕事の収入だけに頼らなくてもよくなります。
これは精神的にもかなり大きいと思います。
病気や障害によって働く時間を減らさなければならない。
フルタイムで働くことが難しい。
以前より収入が大きく減ってしまった。
そんな人にとって、障害年金は生活を立て直すための重要な制度になる可能性があります。
「自分には関係ない」と思わないでほしい
障害年金について僕が一番伝えたいのは、最初から「自分には関係ない」と決めつけないでほしいということです。
精神障害になったばかりの頃は、僕自身も年金制度について詳しく知りませんでした。
障害者手帳や自立支援医療などは知っていても、障害年金についてはよく分かっていませんでした。でも、調べてみると、障害によって生活や仕事に制限がある人を支える制度がいろいろあります。
障害年金もその一つです。
もちろん、誰でも受給できるわけではありません。初診日や保険料の納付状況、障害の状態など、さまざまな条件があります。だからこそ、まずは自分が対象になる可能性があるのかを調べてみることが大切です。
分からなければ、年金事務所や社労士などに相談してみればいいです。知らないまま諦めてしまうのが、一番もったいないと思います。
障害があることで働くことや生活に制限があるなら、利用できる制度はしっかり利用する。僕はそれでいいと思っています。
障害年金は「特別扱い」ではありません。
社会保障制度の一つです。
僕自身、実際に障害年金を受給することで、生活を立て直すための大きな助けになりました。
もし今、病気や障害によって生活や仕事に困っているのであれば、「もしかしたら自分も対象になるかもしれない」というところから、一度調べてみてはいかがでしょうか。
※この記事は障害年金制度の概要を説明するもので、個別の受給可否を判断するものではありません。実際の受給要件や請求方法については、日本年金機構や年金事務所、社会保険労務士などにご確認ください。



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